Archive for the 'ジャパン・オープン' Category
センターコート第6試合 男子シングルスQF
Jarkko Nieminen [FIN] def. Taylor Dent [USA] 6-4 5-7 7-6(3)
ホテルのチェックインは21時の予定だったが、もう間に合わない。
思い切って「0時になります!」と連絡。今年こそは最後まで見届けてやるわよっ!!
今年は「全米ベスト8」の成績を残して来日のヤルコ。知名度が上がったか、ヤルコへの声援多し。
試合への真摯な態度だけで観客にアピールするニエミネンと対照的に、テイラーは
「叫ぶ」
とか
「リフティングを披露する」
とか、プレー以外の面で観客の気を惹く行動が目立つか、な?いろんなタイプの選手がいていいとは思うけど・・・・・「ボールに集中しろ」と言ってやりたいような。
第2セット第12ゲーム。デントのブレーク&セットポイント!!ここで、ヤルコの1stサーブがフォルトの判定。にもかかわらず、デュースサイドに移りサーブを打とうとするヤルコ。主審がたしなめるも、
「悪いけど今のは入ってたよ。どうして線審がフォルトって言ったのか分からないな」
ゴネるヤルコ。主審が『もうわかったから』という風に
“Jarrko.”
と呼びかけると、渋々アドコートに戻り2ndサーブ。ラリーの後セットを失うと、それまで黙々とプレーしていたヤルコ、いきなり爆発。問題のジャッジをした線審に向かって『おまえのせいでこのザマだよ!!』と言わんばかりに両腕を広げ、ラケットを蹴飛ばしながらベンチへ。突然のご乱心にあっけに取られる場内。ここで修造からは終電情報。
最終セット、ヤルコ両腕のリストバンドを赤にチェンジ!最初の2ゲームは、ヤルコが怒りの赤バンドパワーで連続奪取。第3ゲームに入るとさすがに収まったと見え、ややトーンダウン。
試合は白熱。ここでヤルコ、ラリー中に転倒。「もしかして、これで終わり!?」と一瞬ヒヤリとするほどの激しさだったがすぐ立ち上がり、しきりに左ひじの辺りを気にしている。オペラグラスで見ると、何やら肌色のものがダラーンと垂れ下がっている様子が。
「・・・ま、まさか皮ッ!?腕の皮ッ?!イヤーーーッ!!ヤルコの腕の皮がッ!皮がぁーーー!!」
でも、もう一度よく見ると肌色の絆創膏が剥がれただけでした。
この後、コートで何が起こっていたか思い出せない私。ただ一つだけ言えるのは、11時30分前に試合が終了した時、最後まで残ったお客さん達は大喝采だったという事。
「ヤルコ、よくやった!」
「テイラーも頑張った!」
「終電までに終わって良かった!!」
センターコート第4試合 男子シングルスQF
Mario Ancic [CRO] def. Marcos Baghdatis [CYP] 6-1 7-6(4)
マルコス・バグダティスを初めて見たのは、4年前のワールドスーパーJr.決勝の
中継。不精ヒゲボーボー&テニスプレーヤーには珍しいずんぐりむっくり体型で、
『こ、この子がジュニア?この子が16歳?!』
とまずびっくり。そしてゲームが始まるや、今度は見ていて飽きない彼のプレーに
目を奪われることになり、以降気になっていたわけですが、今回ついに生観戦。
去年の全米でフェデラーから1セットを奪った力の片鱗を拝みたかったけれど・・・・・
前日のプエルタとの激戦の疲れが残っていたのか、この日のマルコスはイマイチ。
それでもどういう訳だかマルコスから目が離せない私。なぜだ!なぜなんだ!
難しいことはよく分からないけれども、何かしら人を惹きつけるものを持った
プレーヤーということなんでしょうね。
「2年以内に必ずトップ10に入ってくる選手」ということなので、今後の彼も要チェック。
センターコート第5試合 男子シングルスQF
Wesley Moodie [RSA] def. Radek Stepanek [CZE] 7-6(2) 7-6(6)
「ウィンブルドン複で優勝した後ブパシからダブルスのパートナーに誘われて、
あっさり元のパートナーを捨てた男(注:正確には「来年から捨てる男」)」という
認識しかなかったムーディー。彼が今大会のキーパーソンだったとは!
ステパネック圧倒的優位かと思われたが・・・・・ムーディーのビッグサーブ炸裂で、
大方の予想に反しタイトな展開。
何とかして自分のペースに持ち込みたいのか、靴紐を結び直す姿が目につき始めたステパネック。去年のマスターズ・パリ決勝で同様の行為をしていた彼に観客からブーイングが飛んだのを『靴紐くらい結ばせてやれ』と思っていたけれど、実際目の前で
見ると・・・・・そら確かに結びすぎやで、あんた!
それでも流れが変わらないとみるや、審判にイチャモンをつけるわ、いよいよ追い込ま
れると今度はリストバンドを替えるのにやたら時間をかけるわ(コードバイオレーションを
取られた)、朝のvs キム戦では見られなかった「ゲームの流れを自分に引き寄せるため
なら手段を選ばない男」っぷり炸裂。
「かっこ悪くてもいい。女受けが悪くてもいい。オレはこの試合に勝ちたいんだっ!!」
という執念が存分に伝わってきて大満足。あんたプロだわ!漢だわ!!
・・・・・嗚呼、でもこの日はムーディーが一枚上手だったのでした。
退場の際、試合中と同様やはり笑顔はないものの、投げキッス・・・という軽い表現では
物足らない、むしろ投げブチューで観客の声援に対し感謝の気持ちを表してくれたステップ。
ありがとう。ありがとうステップ!こんな遠い所だけど、また日本に来てちょうだいね。
10月7日(金) DAY5
センターコート第1試合 女子シングルスQF
Sania Mirza [IND] def. Vera Zvonareva [RUS] 5-7 6-2 6-4
センターに着いたのは第2セット序盤。チェンジエンドを待つ間、出入口から観戦。
隣にいたダーさんが一言。
「こら、ミルザが勝つで」
「えっ?ファースト取ってんの、ベラやで」
「オレはミルザの方が押してると思う」
「私にはベラの方が押してるように見える」
その後の結果は・・・・・。くそっ、ムカつくわ。
センターコート第2試合 男子シングルスQF
Bjorn Phau [GER] def. Robby Ginepri [USA] 6-4 6-3
(多分)第2セット、サイドラインのジャッジに切れたジネプリ、
“NO!! NO!! NOoooooooooooooooooo!!!!!”
とものすごい雄叫びを上げ、そのゲームを落とすや今度は問題のジャッジをした線審のすぐ近くにボールをマジ打ち!!ドン引きの観客。試合が終わって引き上げる際 “Sorry.”と謝るジネプリに対し、線審の彼は手を上げて応えていたけど・・・・・その子が許しても、わ、私はちょっと許してあげられないわ。
センターコート第3試合 女子シングルスQF
Tatiana Golovin [FRA] def. Ai Sugiyama [JPN] 3-6 6-2 6-2
なんだかよく分からないうちに、試合の主導権は愛ちゃんからゴロビンちゃんに。どっちも煮え切らない試合、だったか。
先週末見に行ったジャパンオープンの観戦記を、数回に分けてアップしたいと
思います。
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10月7日(金) DAY5
どうして東京ディズニーランド行きの夜行バスを選んでしまったのか。しかも一番安いシート・・・・・。
「東京駅で降りるよりこっちのが有明に近い!」と気の利いたチョイスをしたつもりが、
乗客はテンションの高まった学生カップルが大半。消灯後も話し声が途切れることは
なく、気になって眠れない。バカ!バカ!3日前の自分のバカ!
朝8時半、有明に到着。寝不足のため芝生広場でヘタりこんでいると、ケバブ屋だけが早くも支度を始めているのが見える。ケバブか。先日行ったオーストラリアでもフードコートには必ずと言っていいほどケバブ屋があって、他の店が閉まっていても(注:19時前には閉まる店がほとんど)ケバブ屋だけは遅くまで営業してたっけ。なんて真面目なのだ、トルコ人。あなた達は日本人か(トルコ人だよ)。
そんな事を考えていると、向こうからやって来たのは練習に向かうステパネック!いきなりステパネックときたか!付いて行くしかないでしょ!!一気に目が覚め1番コートへ。
コーチと軽く打ち合うステパネックを外から眺める。本物よー。本物のステパネックが来てくれたよー。やっぱり本物も女受け悪そう。いいのよ。テニスプレーヤーはコートで結果を出してなんぼ。今日も頑張れよ!・・・・・あら?・・・な、なんか、おなかが痛くなってきた・・・・・。
しばらくしてお手洗いから戻った時には既にステパネックの姿はなく、キリレンコとドゥルコが練習中。巷ではキリレンコがかわいいという評判だが、ドゥルコの頭の小ささと足の長さばかりが目に付いて仕方ないんですが。
1番コート 第1試合 男子シングルス3R
Radek Stepanek[CZE] def. Kevin Kim[USA] 6-1 6-3
試合前の練習終盤、何やら目を気にし始めたステパネク。ゴミでも入ったか?練習を終え、キムがコートに入った後も目を気にし続け、おもむろにフェンスをまたぎ観客席に寝転ぶステップ。早くも「らしさ」全開!ああ感激。
対するケビン・キムは、写真で見た通り素朴なタイプ。この日はキムにミスが早く、
あっさりとステップが勝利。
試合後、スタスタとコートから去るキム。あまりにも行動が素早かったせいか、サインを求める人はいない。その後もセンターコートに向かいつつ彼の後ろ姿を遠目に追ったが、広場でも誰も彼に気が付かない。その人プロ選手やねん!誰か気づいてあげて!
何だか切なくなりました。
逆境とは!思うようにならない境遇や不運な境遇のことをいう。
アジアツアーの最後を締めくくるAIGジャパンオープンテニス。翌週から始まる欧州インドアシーズンに備える多くの男子
トップ選手からは敬遠され、昨年観客動員に大きく貢献したスター選手も不参加。直前になって注目選手は相次いで出場
キャンセル。大会開幕後には雨が続き、大会唯一のトップ10プレーヤーである第1シードに薬物疑惑。
これだ・・・・・これが逆境だーーーッ!!!
というわけで、なぜか修造が不屈闘志と重なる展開を見せているジャパンオープンですが、私、今夜観戦のため旅立ちます。
「お気に入りの選手が来ると思ってチケット買ったけど、もう行きたくな~い」
とボヤいているあなたに、偉大なる先人の言葉を授けましょう。
それはそれ!!これはこれ!!
何のことだかさっぱり分からない、かつ分かりたい、という奇特な方は下の映画をご覧下さいね。
では、行ってきます。
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DAY 7 10月10日(日)
ダーさんがサンドイッチを持って戻ってきた。
「ダブルス決勝のこと聞いた?」
「なにを~?」
聞いてないらしい。
男子ダブルス表彰式が始まった。優勝スピーチはパーマーから。「優勝はうれしいが、本当は試合をやって勝ちたかった」との弁。
『ダブルスではどっちが強いか、客の前ではっきり見せたったのに』
とでも言いたげだ。
表彰式が終わると、ビズネルとノバクはさっさと引き揚げたが、パーマーとうずら(パラ)は半永久的に続くのではと思われるほど長い間、観客のサイン攻めに答えていた。本当にいつまでもいつまでもサインをしていた。
そんな二人もコートから消え、ジャパンオープンは公式に終了となった。あっけない幕切れに会場を立ち去る踏ん切りが付かない観客。そして修造。あんたが一番このまま終わらせたくないはずや。そうやろ、修造!
「・・・じゃあ、じゃんけん大会!じゃんけん大会をやりましょう!勝った人にはボクのミ○ノのラケットを差し上げます!」
「やったーっ!!」
○ズノのラケットを欲しいと思った事もないくせに、一同大喜び。
「いいですか!最初はボクを見ていれば勝てます!ボクを見て下さい!」
グーを作って高々と差し上げる修造。
「あいこはダメです!勝った人だけ残れます!はいっ!じゃーんけーんポン!!」
当然みんなパーを出している。全員勝ち残り。そんな事をもう2回繰り返すと、今度は腕を下ろしたまま、
「次からはちょっと難しくなります!はいっ!じゃーんけーんポン!!」
あっ、負けちゃった!残念。でも一応3回勝たせてもらえたから満足である。優しいなあ、修造よ。
勝ち残った人数が少なくなったところで、勝者のみコートに呼ばれる。ところで、こういう時決まって男子小中学生しか残らないのは、一体どういう事なんだろう?男子小中学生だけが異常にじゃんけんが強いのか?不思議だ。
「ウソついちゃダメだよ!ズルして勝ってもうれしくないよ!ねえ、ウソついてない?本当に勝ったの?!」
はしゃぐ子供達に確認する修造。去年も同じような状況があり、
「ウソついてないならボクの目を見て!ボクの目を見て返事して!」
と5歳くらいの男の子に顔を近づけ詰め寄っていたが、今回はそれはなかった。
最後に残った二人がじゃんけんし、勝った子には修造がその場でサインしたミズ○のラケット、負けた子へは男子の試合中コートの隅に立てているATPマークのボードが、同様にサイン入りで贈呈された。
「はい!ここ電気代結構かかるみたいなんです。後5分でライト消えますから、早く出てくださ~い」
あー、これで本当に終わった。
『修造、楽しませてくれてありがとう。お疲れ様。バイバ~イ』
手を振って外に出る。
イベント広場では、各社ショップが昨日台風のため失った売上を取り戻すべく、最後の売り込みに精を出している。
「何か見る?」
「ちょっと見たい」
入り口にGOSENのテナント。大きなアンナ・クルニコワの笑顔が目についた。
思い返せば一年前。初めて目の前でシャラポワのプレーを見た夜、ダーさんに電話で
「私のアンナ(誰のだ)が忘れ去られる日は近いわ」
と報告したのが、つい昨日のことのようだ。たった1年しか経っていないのに、今となっては
「なぜに今さらアンナ・クルニコワ?」
悪いジョークにしか見えない。ツアーの移り変わりの激しさを感じた一瞬。
修造は「来年はフェデラーとロディックを呼びたい」と話していた。そんなの本当に実現したら、来年も行かなあかんやん。もちろんセブを呼ぶのも忘れないでね。
(おわり)
DAY 7 10月10日(日)
男子ダブルス決勝
イジ・ノバク/ペトル・パラ(チェコ)
vs ジェリード・パーマー(米)/パベル・ビズネル(チェコ)
まだ時間が早いせいか、昨日と違って席を立つ人はほとんど見当たらない。
チッ!今日は前の席に移るのは無理そうだ。
小腹が空いた。食べ物を探しに一人で外へ。2階通路を歩いていると、下から何やら声が聞こえてきた。ショップの呼び込みかと思ったが、いや、この下には店なんかないはず。
手すりから身を乗り出すと、なんとそこには拡声器を持った修造が!子供達約20人に
わらわらと囲まれ歩いている。「修造と行く!バックステージツアー」に当選した子達だ。
その少し前には、センターコートをグルッと一周していた。
「シューゾーと一緒に~、有明を~見ようっ!!」
「テニスのことを~、もっと~知ろうっ!!」
シュプレヒコールを上げながら、階段を昇っている。声がこちらに近づいてきた。
目の前に修造現わる。こんなに近くで見るのは、12年前に大阪・江坂テニスセンターで行われた「Salam Open」の時以来だ。ところで、何その格好?ヘルメットの上にはテニスボール。手にはなぜか懐中電灯。
「シューゾーと一緒に~、有明を~見ようっ!!」
「テニスのことを~、もっと~知ろうっ!!」
ハメルーンの笛吹き状態で3階へ向かって行く修造に、昨年セブに対し何のリアクションも取れなかった反省を生かし、手を振ってみた。
「シューゾーッ♥」
さっぱり無視された。止むを得まい。仕事中だし。
席に戻る。思いがけず生修造に遭遇してしまったうえ、サンドイッチにするかフカヒレまんにするか散々迷ったため、ゲーム開始に間に合わなかった。試合の方はノバク・うずら組に元気がなく、5-1でパーマー・ビズネル組がリード。
ここで、選手4人が主審の下に集まった。雨が降ってきたようだ。急遽屋根を閉めることに。席に戻ったノバクがトレーナーを呼んだことには気づいたが、その後のオチをまだ私達は知らない。選手は一旦引き上げる。
ここでいつもなら「待ってました!」と言わんばかりに修造が出てくるところだが、現れない。バックステージツアーがまだ終わっていないのだろう。しかし、修造がいないと静かだなあ。寝そう。
ダーさんは、私のフカヒレまんの湯気に触発されたのか、食べ物を買いに外へ。
一旦ライトを消す必要があるらしく、消灯(曇天のため明かりがついていた)。ゆっくりと屋根が動き始める。音はしない。空がどんどん狭くなっていく。ここで修造復活!さっきのメット姿のまま。
「ボク、こんな格好してたら選手に何て思われるかな?」
口ではそう言いつつ、決してメットを脱ごうとしない。余程気に入ったらしい。
「暗くなるけど、隣の彼女に抱きついちゃダメだよ~」
屋根が閉まりきると、本当に場内は真っ暗に!
その時、私達のいる席の真反対の通路から2つの光る点が。ゆーらゆーらと揺れている。
「コンサートじゃないんだからさー。何?携帯?」
修造の声に反応して、次々に携帯を取り出す観客。各々携帯のライトを付けゆらりゆらり。私も負けじと携帯を光らせた。会場全体に蛍が飛んでいるみたい。ほんの一瞬の出来事だったが、思いがけず幻想的な気分を味わえた。
場内が明るさを取り戻した頃、修造から「みなさんにお知らせがあります。ではお願いします!」とアナウンスの女性へ。
「・・・男子ダブルス決勝は、イジ・ノバク選手が怪我のため棄権いたしました。よって、優勝はパーマー・ビズネル組となり・・・引き続き表彰式を・・・」
ざわつく場内。
・・・ガ・・・ガガーン・・・!昨日見損ねた分、今日はしっかり見ようと楽しみにしていたのに。今大会、残念なことに男子ダブルスとは縁が薄かった。
フォローに懸命な修造。
「ノバクにはサインボール増やしてもらいましょう!」
「ボクね、昨日ノバクに言ったんだよ!『ダブルス準決勝、勝つな!』って。なのに頑張っちゃって・・・」
「ノバクは、シングルス決勝の始めに腹筋切っちゃったんだって。ボクもやった事あるけど痛いんだよねえ、あれ」
えっ?ケガしてたのは、デントじゃなくて?ノバク?全然気づかんかった。ホントにタヌキおやじだな。
(その19につづく)
DAY 7 10月10日(日)
いよいよ大会は大詰め。最後の男子ダブルス決勝を残すのみとなったが、ノバクはこちらにも出場することになっている。ノバクが次の試合開始まで最低30分の休憩を要求しているということもあり、まずは、元々予定されていた毎度おなじみUNITED AIRLINE提供「的当てゲーム」。
「お客さん達、さっきの盛田さんのスピーチ、英語なのに『フンフン』って頷いてたけど、本当に分かってんの?ねえ、ホントに?」
軽いジャブを入れながらゲームスタート。参加者一同は今日も苦戦。修造、昨日と同じ調子でデモンストレーション。
「いいですか、こんなの簡単なんですよ。ほらっ!」
ポーン
「HAWAII」にヒット!
デジャブー。あらー、ホントにすごいわ、この人。
的当てゲームの最中、選手出入り口へ鈴木貴男がラケットを手に現れた。ということは、次にやるのはあれ?でも貴男が相手?なんだか胸騒ぎが・・・
修造「はい!的当てゲームの参加者のみなさん、ちゃんと賞品もらって帰って下さいね。ありがとう!・・・さて、男子ダブルスの試合開始まではまだ時間があります!その間・・・このセンターコートでテニスの勝負がしたい人!」
出たーっ!これは、昨年首を寝違えたフィリポーシスが試合途中で棄権した後、次の試合の準備が整うまで場をつなごうと、修造が即興で始めたイベントなのだ(多分そう)。
今大会は、雨天によるタイトなスケジュールのためこれまで行われなかったようだが、ここへきてやっとチャンスが訪れた。
「今日皆さんの相手をするのは、この人です!」
やって来たのは、やはり鈴木貴男。貴男か。もちろんゲームの相手としては申し分ないが、貴男に修造みたいな素人いじりのセンス、あるかなあ?
「ハイハイハイ!!」
元気に手を挙げる人たちの中から、最初に選ばれたのは7歳くらいの男の子。
守るコートは貴男がダブルス、お客さんはシングルスコート。5ポイント先取で、一般客の3-0リードからスタート。お客さんは2ポイントだけ取れば勝ち、とは言うものの・・・
貴男、昨年の修造と同じく、決して自分からは攻撃せず、一貫して緩いボールを返す。ボールの回転は素直だが、浅く落ちたボールに誘われて前に出ると今度はロブを深く上げられたりと、男の子は前後左右に振り回されている。
うん、まあ悪くないんだけど・・・去年の修造ほどはおもしろくないなあ。えっ?もう本気サーブ使うん?まだあんた追い詰められてないじゃん。しかもフォルトか。適当にダラダラボール出さずに、もうちょっと間を考えようや。だから、流れにメリハリがないんやんか。お客さん、どこで笑ったらいいんか分からんくて、困ってはるわ。笑いに必要なのは「緊張」と「緩和」やって、松本人志も言うてたやん。そんな事知らんか。そうか。
オーストラリア人の男の子を挟んで、3人目に現れたのは30くらいの女性。この女性が、大勢の観客を前にいきなりセンターコートで大活躍!貴男の緩い出しボールを高い打点からフォアでクロスに叩き、2本連続で超鋭角に決めた。お客さんの勝利。あまりのあっけなさに、修造しばし言葉を忘れる。
なんぼなんでも負けるなやー。相手、一般人なのに。それに貴男ほどのプレーヤーなら、場を盛り上げるためにもうちょっと何とかできただろう。
とりあえず貴男は修造に弟子入りすること。
(その18につづく)
DAY 7 10月10日(日)
ゆうべは遅くまでここに残っていたんだろうに、疲れを微塵も見せず、修造、今日も爽やかに登場!
「シャラポワはもう出ないにもかかわらず、今日もこれだけたくさんのお客さんに集まっていただいて、ありがとうございます!今日来て下さった皆さんは、本っ当のテニスファンです!!」
イエーイ。ドンドンドン。
「昨日の夜は、結局最後の男子ダブルスが終わったのが、夜12時半でした」
りんかい線の最終電車は11時47分だったので、どちらにしても最後までの観戦は無理だったか。じゃあ、ラストまでいられたのは、車で来てた人だけ?じゃあ、来年は車で来ないとね。
「いつまで女子ダブルスのままなの?あと3秒で男子シングルス決勝の表示に変えて下さーい。はい、3、2、1!」
バーン!電光掲示板に新しく文字が並ぶ。
「MEN’S SINGLES FINAL Jiro Novak vs Taylor Dent」
・・・あっ、こらっ!ノバクの名前、「Jiri」なのに。誰が「次郎」だ。客席では気づいた人がざわざわしている。
「”Jiro”だって」「違うじゃん」「修造!ノバクの名前が」
もしかして、担当の人は修造に突っ込んでほしかったんじゃなかろうかと推察するが、肝心の修造の視線は既に客席に向いており、ついぞ気づく気配はない。約2,3分後、何事もなかったかのように “o” から “i” に修正された。
「さあ、この中でイジ・ノバク選手を知ってる人は?」
挙がる手はまばら。
「じゃあ、テイラー・デント選手を知ってる人は?」
こちらもまばら。さみしいねえ。
「イジ・ノバク選手、暗いです!明るくするためにこの曲を贈ります!」
また『冬ソナ』?と思いきや、流れてきたのは陽気なサンバ!動きが細かいので分かりにくいが、よく見ると、修造は曲に合わせて軽快にステップを踏んでいる。しかも妙にうまいよ。なんでもやるなあ。
デントとノバクがやってきた。ヒュー&ダビの決勝を期待していた人には興味のない組み合わせになったかもしれないが、同週にフランス・リヨンで行われた大会の決勝がソダーリング(53位)vsマリッセ(52位)だったことを思えば、悪くないカードと言えよう。
練習中、主審がこの試合について説明。英語でやるので、私は普段聞いてない。その事を知ってか知らずか、ぐっちさんが教えてくれた。
「どうやらノバクはトスに勝って、リターンを選んだみたいやな」
えっ?デント、サーブ&ボレーの選手なのに・・・?
「前に何かで、サーブ自慢の選手にわざと先にサーブを打たせて『お前のサーブなんかちっともすごいと思ってないぞ』みたいなプレッシャーをかける作戦の話読んだことあるけど、それ?」
「分からんけど・・・そうかもな」
いやっ!ホンマにそんな事する人、いるんや。いるか。ましてやプロの試合なのに。なるほど、ノバクはいかにもやりそうだ。対するデントは、感情あらわに動きの多いプレーをする若い選手。
「タヌキおやじ vs はつらつ天然ボーイ」
の構図が、すっかり私の中で出来上がってしまった。実際には6歳しか違わないし、ノバクだってまだ29歳なのに。3人子供いるけど。
ゲームはブレーク合戦でスタート。第1ゲームでノバクがいきなりブレイクした時は『あー、作戦的中!』と驚いたが、デントも一応34位の選手だ。すぐにブレイクバック。
お客さん、今日もデントに200km/hを越えるサーブが出るたび、示し合わせたかのように
「オォ~~~~・・・!」
しかし、ノバクも156km/hのサーブでノータッチエースを奪う。
『・・・おまえは200km/hのサーブを打つんか知らんが、オレは156km/hでノータッチエース』
・・・・・何か今聞こえたような気が。空耳?
「デントは汗びっしょりなのに、ノバクは涼しい顔やな」
ダーさんの言うとおり、デントは髪の毛から汗がしたたり落ちているのが2階からでもはっきり分かるほどなのに、ノバクは汗ひとつかいてないように見える。実際には顔を拭う仕草がしばしば見受けられるので、そんな事はないんだろうが。
『・・・お前は散々動いてポイントとるけど、オレはお前のショットの勢いを借りてカウンターエース』
ハッ!また何か聞こえた。
その後はキープキープでデントの6-5。第12ゲームはデュースからデントがブレイク&セットポイントを握る。場内から「テイラー!」コールと拍手が起こり、静まった。
ここ1本凌ぎたいノバク。ファーストサーブのトスを上げたその瞬間、近くの席から大きな声が!
「カモン!テイラー!!」
『ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!』
ハァハァハァ・・・誰やーーっ???このバカーーッ!!!帰れーーーーっ!!・・・ハァハァハァ・・・しばらく動悸が治まらない。
ノバク、トスからやり直すがダブルフォルト。第1セットは後味悪く7-5でデント。
デント、第2セットから目立ってファーストが入らない。さっぱり入らない。入れにいっても入らない。入ったので前に出ても、今度はボレーでミス。プレーのフィーリングが合わないとすぐに表情に表れるデントだが、大事な試合の最中に生命線のファーストサーブが不調。もう今にも泣き出しそうだ。デントのああいうところがかわいいんだけど・・・・・かわいかろうが、かわいくなかろうが、勝ち負けには関係ありませんからっ!残念っ!!あまりに決まらないサーブに呆れ果て、デント裏声で高笑い。
「ねえ、なんであの人、あんな変な笑い方してるの?」
テニスを普段ご覧にならないのか、デントの妙な笑い声の意味が隣のご婦人には解せなかった様子。
サービス不調の影響か、ポイントの間合いもやたら長い。
「デント、どっかケガでもしたんちゃうかな?」
「ねー。動きも緩慢というか散漫というか」
かわいそうに、テイラー。ケガをして辛いんやね。ぐっちさんと私の間では、勝手にそういう話になっている。
第2セット、ノバクの6-1でファイナルセットへ。
詳しい展開を覚えていないので、日本テニス協会の試合後記を参考にすると、
「ファイナル第4ゲーム、デントのサービスゲーム2度目のデュースで、ノバクがバックの超鋭角ショットを放った」
そうだ。多分私達も「うおーっ!」とか言ってたんだろう。覚えてないが。このゲーム、ノバクがとり3-1に。その後はノバクがデントの追撃を振り切り5-3。
ノバク、ついにServing for the championship!それまで160、170km/h平均だったファーストを、ここで突然190km/h台後半にスピードアップ!次々に叩きつける。
『・・・お前は最初から全力でサーブ打たなあかんけど、オレはとっておきのポイントで使えんねん!』
ああっ!!やっぱり聞こえるっ!ノバクの心の声が!!
あっぱれノバク。デントは全く対応できず、ゲームセット。ノバクは優勝が決まると、その場に仰向けに寝転んでガッツポーズ!地味なつくりの顔に満面の笑み。思わず誰に言うともなく呟いた私。
「あー、やっぱり勝てばうれしいんやね、ノバク・・・」
当たり前だ。
DAY 7 10月10日(日)
午前11時。ダーさんが目を覚ます気配がなく一時は諦めかけたが、なんとか試合開始には間に合いそうだ。
昨日の修造天気予報では「天気は晴、最高気温は26度まで上がります!」ということだったが、上空は厚い雲で覆われており、肌寒い。それでも雨は降っていないので、国際展示場駅を出て有明へ向かう陸橋からは、コロシアムの屋根が開いているのが確認できる。
今日は、「男子シングルス」「男子ダブルス」「女子ダブルス」の各決勝、計3試合が組まれている。
ノバクがシングルスとダブルスの両方に出るうえ、昨夜の男子ダブルス準決勝は深夜まで及んだので、最初に「男子シングルス」、間に「女子ダブルス」をはさんで、最後に「男子ダブルス」とするのが妥当だろう、と勝手に予想していた。
ところが、陸橋からアザーコートを覗くと、練習中のノバクとうずら(パラ)を発見!ということは、第1試合は女子ダブルスか。大ハズレ。
今日も2階だが、指定席なので心安らかに席に向かう。ちょうど試合前の練習が終わり、選手が位置に付こうかというところ。セーフ。